武闘の大地

高橋義夫「武闘の大地」を読んだ。

武闘の大地 (文春文庫)

武闘の大地 (文春文庫)

珍しく中国を舞台にした小説である。
時代は義和団事件前後の中国天津。
柔術家である主人公が、
中国で一旗揚げようとやってくる。
現地の日本人社会や中国人武術家などとの関わり、
時代の影響を受けながら生きていく。
梅花拳など武術に関するシーンも多いが、
武術小説というより冒険小説である。
それにしても感心するのは、
当時の中国が詳しく描かれている事である。
日本人が書く中国物は、
ピント外れなトンチンカンなものが多いが、
これはそうしたほとんど違和感を感じさせない。
昔読んだ大陸浪人の小説を思い出す。
一気に読める面白い小説であった。