人斬り剣奥義

津本陽「人斬り剣奥義」を読んだ。

人斬り剣奥儀 (新潮文庫)

人斬り剣奥儀 (新潮文庫)

剣豪物の10編の短編集である。
富田勢源の話、尾張柳生と江戸柳生の話、
一刀流の白井享の話、馬庭念流の技の話など、
いろいろな話が収録されているが、
際立つのは、
残り6編が全て薩摩示現流の話であることだ。
「薩摩の初太刀」やあまりに激しい稽古については、
以前から知っていたが、
幕末当時の薩摩人の精神性などを詳しく知ることが出来る。
「人切り半次郎」と呼ばれた中村半次郎が、
案外剽軽で頭が良く、時局にも明るかったのは意外だったが、
それ以外で印象に強く残るのは、
当時の薩摩武士が、
現代の価値観からすると如何に狂気の中に生きていたか、
ということである。
薩摩武士だけではなく、
当時は人の命が如何に軽かったかもわかる。
本を読み終わってから、
youtubeでこんな動画を見つけた。
http://www.youtube.com/watch?v=aFs4MANOvPo
この技で敵を下半身から切り上げていたのだと思うと、
やはり恐ろしくなる。