秋月記

葉室麟秋月記」を読んだ。

秋月記

秋月記

江戸時代の九州秋月藩の話である。
福岡藩支藩であった秋月藩の話である。
絶えず支藩を取り込もうとする福岡藩の陰謀にさらされ、
経済的にも困窮している小藩にあって、
後に中老にまでなって藩内の政治に関わる主人公、
間小四郎を中心として周囲の人々や藩について描く。
主人公の成長と友人達との友情、
周囲の女性たちの運命や藩の黒幕達など、
江戸時代の小藩の内部事情や人間模様を、
このように時代の変化とともに細かく描いた作品は、
これまでほとんど読んだことがなく、
大変興味深く、またとても読みやすい良い作品であった。
私としては、
ふとしたきっかけで主人公の終生の友人となる、
柔術の達人藤蔵の存在が魅力的に思える。
この作家の作品をまたいくつか読んでみたいと思う。