入院生活(6)

ネットで、
鼠径ヘルニア手術の体験記などを読むと、
「麻酔で感覚が無くなり、
気づいたら手術が終わっていた。」
という記述があったが、うらやましい話である。
私の場合、
恐らく麻酔が十分に効かなかったのだろう。
電気メスで皮膚を切られるときのチクッとした痛み、
筋肉を引っ張られるような痛み、
腹の中の腸を動かされるような感じ、
もちろん激痛というのではないが、
すべてが感じられて、
1時間ちょっとの手術が長くつらかった。
やがて手術が終わり、
自分では動けないので、
手術用ベッドが斜めになって、
滑り落ちる形で自分のベッドに移された。
それからずっと、
動く天井を眺めつつ運ばれていく、
ちょっと日常ではない感覚を味わい、
自分の病室に戻ってきた。
手術は無事終了したのであった。