九十九怪談

木原浩勝「九十九怪談・第一夜」を読んだ。

九十九怪談 第一夜 (角川文庫)

九十九怪談 第一夜 (角川文庫)

これも生徒さんが下さった怪談集である。
怖い話ももちろん多いが、
不思議な話もたくさんある。
17話の「いがいとかしこい」など、
昔話の「サトリ」や狐狸妖怪を思い出させるし、
51話の「大仏様」という、
大仏と一緒に風呂に入る話などは、
不思議でユーモラスにさえ思える。
しかし、私にとっての白眉は、
6話以降の「鎖の音」、90話の「お願い」、
94話以降の「のんちゃん」である。
「鎖の音」は不思議な飼い犬の忠誠心が愛しいし、
「お願い」と「のんちゃん」は、
輪廻の不思議さを感じさせてくれる話である。
かなり楽しめた本であった。