奇貨居くべし

宮城谷昌光「奇貨居くべし」を読んだ。

奇貨居くべし―春風篇 (中公文庫)

奇貨居くべし―春風篇 (中公文庫)

秦の呂不韋を描いた作品である。
以前このブログでも紹介した「キングダム」で呂不韋が登場し、
どんな人間だったのか知りたいと思ったのである。もともと商人で、
後に子楚を擁立して秦の宰相となる人物である。
子楚を見出した時に「奇貨居くべし」と言ったそうだ。
「キングダム」や他で紹介されている人物像では、
巨利と強大な権力を持つ油断ならない人間だが、
この宮城谷作品の呂不韋は大きく異なる。
徳の人で、秦が他国を攻めた際にも、
捕虜や敵兵を逃がし、虐殺を行わなかったため、
人民から慕われて後の秦王朝の礎を作ったのである。
真の呂不韋がどうだったか知る由もないが、
こうした様々な見方を知ることができるのは楽しい。