あかね空

山本一力「あかね空」を読んだ。

あかね空 (文春文庫)

あかね空 (文春文庫)

江戸時代、
京豆腐を売る店を開いた職人一家の、
親子二代にわたる物語である。
家族間の感情のもつれや、
周囲の人たちの人情などが描かれる。
日本人ならではの、
気持ちをオープンにしないで飲み込むところから、
問題がこじれていくのだが、
一方、江戸時代の日本人ならではの人情にも感動する。
印象に残った登場人物は、
商売敵の嘉次郎である。
商売敵でありながら主人公の豆腐を認め、
自分の正義感に基づき、
陰ながら助けるという無私の行為をする。
直木賞受賞作も頷ける力作であった。