剥落

今年を振り返ると、
心境の変化が色々あった。
そのうちの1つが「武術の剥落」であった。
子供の頃から武術が好きで、
これまで様々な武術を経験し学んできた。
しかし今年になって、
急に関心が失せてしまった。
何か自分の身体から、
ハラリと剥がれ落ちた感じなのである。
きっかけはいくつかあったが、
自分の生活や年齢や精神のことが主な理由であったと思う。
社会人として様々なことを経験し、
家族を持って子供を育て、
教師として働いて様々な人の人生に触れて、
自分の人生観や世界観が徐々に変化してきた。
武術を学ぶ中でついて回る、
「戦う」とか「強さ」とか、
「伝統」とか「組織」とか、
「人との比較」とか「師弟関係」とか、
そういったものが空しくなってしまったのだ。
もちろんこれまで学んだことを捨てたわけではない。
太極拳や気功の練習は続けているし、
生徒さんに教えてもいる。
そのこと自体は楽しく有意義で、
心身健康体術として恐らく一生続けるであろうと思う。
今後は、先生について学んだり、
先生や特定のメソッドを探したり、
組織に属するということはもうないだろう。
自分で練習し、研究し、
息子や少人数の生徒さんに伝えていければ、
それで十分である。