愛しの座敷わらし

萩原浩「愛しの座敷わらし」を読んだ。

愛しの座敷わらし

愛しの座敷わらし

これも生徒さんに貸していただいた。
ただ、映画の広告を見た事があったので、
どんなストーリーなのかは知っていた。
都会の生活で歪んでしまった家族の生活が、
田舎の古い家に転勤で引っ越すことによって、
徐々に精神の健康を取り戻していく話である。
この田舎の家に棲んでいるのが座敷わらしで、
まさしく家族に幸福をもたらすわけである。
家族それぞれが話す形で表される内容は、
細かい気持ちの変化が語られており、
それが現代人の各世代の心をリアルに出している。
しかし、私にとって最も特筆すべきは、
座敷わらしの描写の可愛さである。
幸福をもたらす側の存在であり、
本当の幼児のように無垢な感じのこの存在が、
幸せであってほしいという祈る気持ちにさせられてしまう。
読んでいるこちらの気持ちも、
幸せになるようないい小説であった。