宮城谷昌光「侠骨記」を読んだ。
- 作者: 宮城谷昌光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/02/04
- メディア: 文庫
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それぞれ時代と主人公が異なる。
表題の「侠骨記」は、
春秋戦国時代の魯の国の宰相曹沫。
「布衣の人」は古代の皇帝舜。
「甘棠の人」は有名な太公望呂尚。
「買われた宰相」は春秋の秦の宰相百里奚。
共通しているのは、
みんな大変な不遇を経験していることであるが、
私としては前半の二つがお気に入りである。
曹沫は低い身分から君主の信頼を得るようになり、
優れた軍師として活躍するさまは小気味よい。
そして舜は、若いころの境遇を読めば、
まるで現代の虐待のようである。
その不遇の中から帝となっていく。
宮城谷作品の登場人物は、
権謀術数渦巻く時代や社会にあって、
まっすぐな心情の人が描かれていることである。
強い印象を与えてくれる作品であった。