駐在刑事

笹本稜平の「駐在刑事」を読んだ。

駐在刑事

駐在刑事

東京から奥多摩の山里に左遷された刑事の話である。
私はだいたい警察物を読むことが多い。
そしてここのところ読む作品が、
警察内部の人間関係や出世競争などを扱ったものが多い。
当然権謀術数や虚実の駆け引きに満ちた内容になる。
ところがこの作品はその要素が薄いのでほっとする。
登山で見られる美しい山の風景描写も多く、
地元の人との人間関係もよい。
同じ主人公の6つの短編で構成されていて、
特に「秋のトリコロール」は、
父を思う子供の気持ちが涙を誘う。
その後出てくる犬にまつわる話もよい。
珍しく読み終わったほのぼする警察物であった。