華栄の丘

宮城谷昌光「華栄の丘」を読んだ。

華栄の丘

華栄の丘

春秋戦国時代
宋の国の宰相である華元を描いている。
智の人というより、腹の人、人格の人である。
相手を包み込むように柔らかく話し、
争いを好まず、徳を積むことを心がける。
負けず嫌いな人の多い現代中国人と異なる感じがする。
民衆が自分のことを揶揄するような歌を歌っていても、
歌で返したり、許したりする度量がある。
徳を積むことで、主君や家臣、仲間に恵まれる。
もちろん宮城谷解釈による人物像であって、
本当はどうであったのか知るすべもないのだが。
古典に基づく堅い文章でありながら、
思わず涙が出そうになる人の心の機微が描かれている。
久しぶりの宮城谷作品を読んで、
またこういう世界に浸りたい気になった。