黒板消し

授業終了後、
ホワイトボードに書いた内容を消す。
日本人対象の授業の場合、
学生であろうと社会人であろうと、
通常私が自分で消すのが当たり前になっている。
もちろん大した手間でもないし、
そのこと自体に何の違和感もない。
ところが、
専門学校の留学生対象の授業の場合、
学生が消してくれることも多い。
そしてそれはほぼ台湾人の学生である。
たまに香港の学生がやってくれることもある。
思えば、
日本人対象の授業でも、
かつて年配の生徒さんが消してくださったことがあった。
また、自分が学生だった時代には、
日直が消すことになっていた。
ふとそれを思い出した。
ある日、
授業終了後に台湾人留学生が黒板を消してくれている時、
礼を言いながら私も一緒に消していると、
「台湾では、これを学生がやることになっているんです。」
と学生が静かに言った。
台湾には、先生を敬う美風が残っているのは知っていたが、
何かホロリとして、とてもうれしく感じたことであった。