妖談

車谷長吉の「妖談」を読んだ。

妖談

妖談

図書館で見つけて、
妖怪などの怪談を書いた本だろうと借りた。
家に帰ってから読んでみて、絶句した。
まったく何という小説だろう!
短い話がたくさん収められているが、
最初の短編を読んだだけで驚かされる。
読み進むうちに、
主人公の名前は異なるものの、
経歴や考え方がみんな同じなのに気づく。
「歯に衣着せぬ物言い」というが、
まったく歯に衣着せぬ書き方である。
実在の登場人物もすべて実名で、遠慮会釈無く、
普通の人なら適当にぼやかして書くところを、
直截的にズバズバ書いている。
数時間で全部読み終えてしまった。
こんな小説は読んだことがない!
後で調べて分かったが、
この人は直木賞も含めていくつも文学賞を得ており、
いわゆる私小説の作家だということだ。
あまりの衝撃に読後しばらく呆然としてしまった。