絵本(3)

子どもは案外不気味な絵本や、
大人が見ると気持ち悪いような作品も好むと書いた。
それで思い出したのが、
「エンソくん きしゃにのる」
である。

主人公のエンソくんという男の子が、
1人で汽車に乗って田舎のおじいさんの所に行く、
という子ども向けの絵本にはありがちの話である。
表紙が蒸気機関車なので、
電車好きなウチの子ども達が何度も読んでいた。
しかしこの絵本、何となく絵が不気味なのである。
建物や人が妙な曲線で描かれているし、
人の顔の表情が何というかオリジナルなのである。
特に羊飼いが羊を連れて汽車に乗り込んでいる絵は、
私にしてみると、何とも不気味で気持ち悪いのである。
しかし、逆にこの不気味さがぬぐいがたい印象を残し、
今に至っても忘れられない絵本となっているのだ。