商人

ねじめ正一「商人(あきんど)」を読んだ。

商人 (集英社文庫)

商人 (集英社文庫)

生徒さんからお借りしたのである。
江戸時代に実在した商人をモデルに書いた作品だそうだ。
主人公が子どもの頃から商人として成長していく生涯が描かれている。
大変読みやすく、面白い。
読んでいる情景が目に浮かぶ文である。
仕事や家族、人生の有為転変など、
時代設定を意識しなければ、今と同じだなと思う。
ただ、衛生状態や医療の発達によるのだろうが、
子どもが小さいうちに亡くなってしまうのが、
現代と大きく違うところだろう。
お宮参りもそうだが、子どもがつつがなく成長することは、
現代と比べものにならないほど大きな事だったのだろうと思う。
主人公も家族をたくさん失うことになる。
しかし、逆にそのために、
命の重さや人に対する思いやりなども生まれるのだろう。
読み終わって、じわっといろいろ思いが浮かんでくる小説だった。