地元の図書館で借りて、
三浦綾子の「愛の鬼才 西村久蔵の歩んだ道」を読んだ。
- 作者: 三浦綾子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1986/07
- メディア: 文庫
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「塩狩峠」は実在の人物モデルがいるとはいえ、
やはり創作部分も多々あっただろうと思う。
しかし、「愛の鬼才」は残された事実に基づいて書かれている。
この人は明治から昭和にかけて生きた北海道の実業家で、
「洋菓子のニシムラ」の創業者であるが、
キリスト教の熱心な信者であり、実践者であった。
盗んだ物が西村の物だとわかった泥棒が、
その盗んだ物を返してきた話。
禁酒運動を行っていた街頭で、
からんできた酔っぱらいを改心させた話。
教師時代に生徒に真心で向き合った話。
事業経営の傍ら、寸暇を惜しんで、
恵まれない人や病気の人を見舞った話。
このほかにも感動的な話が多くあり、圧倒される。
私は武術が好きで、いわゆる「強い」先生たちや、
その先生たちの逸話もたくさん知っている。
しかし、
その先生たちが本当の意味で精神的な「強さ」があるか、
と言えば、必ずしもそうでもないように思える。
ところが、この西村久蔵という人は、
信念、信仰に基づいた誠の人であり、
本当の意味で精神的に強い人であると私は思う。
現在この本は絶版であるようだ。
私はどうしても手元に置きたくなり、
ネットで古本を注文した。
この本は、
私にとってここ最近で最もインパクトのあった本である。