春風無刀流

津本陽の「春風無刀流」を読んだ。

春風無刀流 (文春文庫)

春風無刀流 (文春文庫)

幕末の剣・禅・書の達人、山岡鉄舟を描いた作品である。
ずいぶん前に、大森曹玄の「山岡鉄舟」を読んだことがあった。
山岡鉄舟 (禅ライブラリー)

山岡鉄舟 (禅ライブラリー)

したがって、山岡鉄舟のことについてはだいたい知っていたし、
その豪快な書が好きなので、
かつて山岡鉄舟の遺墨展を見に行ったこともあった。
今回この小説を読んで、
そのころの感動がよみがえった気がした。
著者は剣道をやる人だから、
その稽古の様子も細かく書いてあって興味深い。
入門してすぐ何時間かひたすら打ち込みをやらせるなど、
いかにも山岡鉄舟の道場らしい。
その後、1日200回の打ち込みをやらせたり、
上級になると、それを3日間や7日間続けるといったような、
相当過酷な稽古をしたらしい。
とても体力的にもちそうもないが、
体力を超えた境地を目指すものだったのだろう。
山岡鉄舟は豪快な人ではあるが、
純粋で優しい人でもあったようだ。
つくづく今の日本人とはスケールの違う人だったのだなと感じた。