とんび

またしても生徒さんから借りた本「とんび」を読んだ。

とんび (角川文庫)

とんび (角川文庫)

貸してくださった生徒さんからは、
「泣けてくるので、電車の中では読まないように。」
と言われていたが、
基本的に私は電車の中でしか本を読めず、
案の定涙をこらえることが数回あった。
作者の重松清という人は、
朱川湊人の文庫本の解説をしたことのある人で、
私は名前だけは知っていたのだが、
今回初めてその作品を読むこととなった。
一言で言えば、ある親子と周囲の人々との人情物語である。
「泣くぞ」と言われて、
そう簡単に泣けるものではないと思っていたが、
子供が話し始めた頃の話で、もう泣きそうになった。
細かい描写とリアリティで、
自分の子供の小さかった頃を思い出してしまうのだ。
もちろん物語の後半でも何度か泣ける場面があるが、
年を取って涙腺が弱くなったのと、
自分の人生経験と照らして共感できることが多くなったせいで、
ことさら胸に迫ってくる。
男の子を持つ男親なら、
この作品を読んで同様の気持ちを持つのではないだろうか。
おかげでうちの子供が赤ちゃんだった時のことを、
しみじみと思い出し、また懐かしく優しい気持ちになった。