叛撃

今野敏「叛撃」を読んだ。
みんな武術に関わる短編小説ばかりの本である。
読んで痛快感があった。

叛撃

叛撃

主人公は職業は違っても全て武術をやっている人だ。
それも全て伝統的な武術の立場に立っている。
私もそうした伝統の技術に関心があるので、
つい力が入ってしまう。
私が知らないだけかも知れないが、
こういう系統の小説は少ない気がする。
武術を扱う小説でも、
書いている人が武術の経験者であると違う。
技術的な深みやリアル感が違う。
仮に自分で武術をやる人が書いていたとしても、
登場する他の武術に対して研究が浅いと、
やはり陳腐な印象を持ってしまう。
その点、この作家はそうした面を全てクリアしている。
だから読んで納得するし、痛快感があるのだ。