バレエダンサー

昨日読み終わった本がある。
「小さな村の小さなダンサー」である。

小さな村の小さなダンサー (徳間文庫)

小さな村の小さなダンサー (徳間文庫)

実在の中国出身のバレエダンサーの自伝である。
60年代最初の中国の田舎に生まれた男の子が、
選ばれて北京の学校でバレエを学び、
頭角を現して世界的なバレエダンサーになる、
という話である。
サクセスストーリーと見るべきなのだろう。
しかし私には、私と同世代の中国人が、
子供の頃にどんな環境でどんな価値観のもとで、
育っていったのかがよくわかる本であった。
毛沢東崇拝が最も強い時代にあって、
また食べ物が十分にない貧しい時代にあって、
家族や先生や友達との心の交流が細かく描かれている。
アメリカに渡ってからの描写について読むと、
かつて80年代に私が知り合った中国人たちが、
どのような背景があってどのような気持ちであったか、
理解できるのである。
やはりそれは一般の日本人には想像しがたいものである。
たいへん読みやすく、また印象深い本である。
この本をもとに作られた映画も公開されるようだ。