昨日、朱川湊人氏の作品、
「ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント」
を読み終えた。

- 作者: 朱川湊人
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/12/17
- メディア: 単行本
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この作品は、また今までの朱川作品と異なる。
彼の作品の文章は、
主人公や準主役の人の独白調がほとんどである。
しかしこの作品では、筆者の説明文体である。
かつてテレビで放映されたウルトラマンメビウスで、
彼が脚本を書いた3作品をもとにして、
小説の形になっている。
子ども向けの底の浅い作品だと思ってはいけない。
決して侮れない深く感動的な小説なのである。
大学時代、朱川くんが住んでいたアパートに、
何度も遊びに行かせてもらった。
当時の彼の部屋には、「宇宙船」という特撮の専門雑誌や、
彼が作ったとてもリアルな仮面ライダーのマスクなどが、
生活用品や本と並んで置いてあったものだった。
私も同世代であるから、
初代ウルトラマンや初代仮面ライダーには、
夢中になったものだし、今でも懐かしい。
しかし彼の知識や記憶の確かさは並はずれていた。
今思えば、彼はいわゆる特撮オタクの走りだったのであろう。
この作品は、彼のそうしたウルトラマンシリーズへの
深い知識と愛情と思い入れが結実したものであり、
泣けるホラーの旗手である直木賞作家の技量が
さらにそれを深みのある小説に仕上げたのである。
いずれにせよ、これは朱川湊人にしか書けない
素晴らしい小説であり、
ホラーの作品群とは異なるが、
まぎれもない彼の代表作と言っていい小説なのである。