自分探し(9)

2人しかいない宣伝係のもう1人は、
身体が弱く神経質そうな女子社員であった。
昨日書いた切れ者の主任が栄転で異動した後、
課長が宣伝係の係長を兼ねるようになってから、
いろいろと問題が生じるようになった。
課長もその女子社員の先輩も、
個人としてはとてもいい人だったのだが、
折り合いが悪く、うまくいかないことが多かった。
もともと神経質で身体が丈夫ではないうえに、
そうしたストレスが重なって、
その女子社員は、だんだん会社を休むことが多くなった。
そうすると、仕事上も人間関係上も
さらにうまくいかなくなってしまった。
ある日、私が残業していると、
課長とその女子社員が仕事のことでもめていた。
私はとりあえず自分の仕事に専念していた。
すると突然、もめている話が途切れ、
ズダーン!!と音がしたかと思うと、
その女子社員が倒れていた。
びっくりして課長も私も周囲の人たちも駆け寄った。
よくわからないが、
ストレスで感情が高ぶって一瞬意識を失ったようだった。
その後しばらくしてその人は退職した。
一応送別会も行い、円満退社であったが、
そのまま仕事を続けていけないのは、
誰の目にも明らかであったから、仕方がないことではあった。
その女子社員にも言い分はあると思うが、
傍で見ていて課長は大変だなあと思わされる出来事であった。