ふと昔のことを思い出した。
中学3年の時、クラスの雰囲気がたいへんよかった。
失礼だが、担任の先生が特に優れていたわけではない。
要因はというと、タイミングと人、というしかない。
とにかく何となくみんなが仲良くなったのだ。
ほとんど自然発生的にと言っていい。
その中に、
1人の中学2年生から少しグレていた男子生徒がいた。
彼は母子家庭の子供で、
当時のいわゆる突っ張りのような
改造した学生服を着ていた。
髪型も一時期リーゼントにしていた。
周りを拒絶し、挑戦的な表情をしていた。
仲の良かった我々そのクラスのメンバーは、
特に彼のそんな様子にとらわれることなく、
自然に接していた。
そんな彼が何となく自然にクラスの仲の良さに影響され、
いつの間にか髪が普通の髪型に変わり、
学生服はもとの形に戻っていった。
表情もニコニコして楽しそうであった。
ある時、彼が突っ張っていた当時を回想して言った。
「おれ、何であんなことしてたんやろ。」
それを聞いて、
私たちも彼がグレていたのだということを思い出すほどで、
また嬉しくも感じた。
そんな仲の良いクラスだったが、
卒業後はやはり疎遠になってしまった。
その後の消息については、
ごく近しい仲間以外についてはわからない。
それでもそんな時期があって良かったと思う。
何故か解らないが、突然懐かしく思い出したことであった。