水銀虫

朱川湊人氏の文庫本が出た。
「水銀虫」である。

水銀虫 (集英社文庫)

水銀虫 (集英社文庫)

ホラー作品なので、不気味なのはもちろんだが、
人間の悲しさが描かれるのが彼の作品の特徴である。
7本の短編作品が収められている。
この中で私が印象に残ったのは、
「薄氷の日」である。
いじめのくだりは胸が痛むが、
終わりまで読んで納得するのは、
私に因果応報を信じたい気持ちがあるからだろう。
電話で話したとき、朱川氏はこの本について、
「暗い話だけどな。」
と言っていた。
確かにそれはそのとおりだったが、
朱川作品らしい秀作揃いだと思う。