80年代の北京(6)

この時の短期留学は1ヶ月だったが、
土日を除く毎日、朝6時から太極拳の練習があり、
留学生は誰でも参加できた。
最初のうちこそ参加人数が多かったものの、
日を追うごとに人数が少なくなっていった。
みんなほぼ毎晩宴会をやって、
朝起きるのが大変になっていった上に、
太極拳に大した意味を見いだせなかったのだ。
最終的に残ったのは、
もともと興味を持っていた私、
少林寺拳法有段者の井上さんという人と、
あと2人ぐらいだった。
教わったのは、簡化24式太極拳であった。
たかだか1ヶ月でもあるし、
我々も先生の動きを真似するだけで、
中身の方まではやらなかった。
それでも私にとっては、
最初に学んだ太極拳となった。
朝寒い北京のグランドで、
先生の後について太極拳をやる光景は、
懐かしく心地よい思い出となっている。