80年代の北京(3)

昔のことなので、少々記憶が曖昧だ。
確か北京の空港に着いたのは夜だった。
今ほど近代的ではなかった空港は、
愛想のない殺風景な雰囲気だった。
空港から学校へ向かうバスの中から、
道行く馬車を見るだけでカルチャーショックだった。
着いたところは、留学先の北京語言学院。
留学生自体が少ない時代であったから、
学校側はたいへん歓迎してくれた。
我々の団体のメンバーは、
社会人も何人かいたが、
やはり大学生が中心だった。
関東、関西、九州などから約10名ほどもいた。
みんなそれぞれ2年ほど中国語を学んでいて、
年齢も近いので、すぐに仲良くなった。
大学時代の私にとって親友と言えるのは、
作家となった朱川君も含めたグループで、
朱川君、沖君、辻君、根本君、本多君であった。
そして今回の留学で一緒に行くことになったのは、
今は台湾に駐在している沖君であった。