ヒント

越女剣の三編を読み終えた。
二編目の「鴛鴦刀」は、
いかにも金庸といった感じの武術小説だったが、
最後の「越女剣」は、
春秋戦国時代を舞台として、呉王夫差や越王勾践、
范蠡や西施まで出てくる異色作であった。

越女剣―傑作武侠中篇集

越女剣―傑作武侠中篇集

この中で、白い猿と戦ううちに、
剣の達人になってしまう女の子が登場する。
中国では、猿は孫悟空はもとより賢い動物として、
よく物語に登場する。
武術でも、動物の動きにヒントを得たというのも多い。
有名な蟷螂拳白鶴拳がそうだ。
猿では白猿通臂拳もあるし、
いろいろな武術で「白猿偸桃」や「白猿献桃」などと、
桃とセットで技の名前で数多く登場する。
一方日本では、
天狗や異人に会って教えてもらうというのが多い。
異人というのが外国人のことなのか、
それとも天狗のような人間以外の物を指すのかは、
よくわからない。
夢で極意を得るというのもある。
いずれにせよ、
それまでにいろいろ考えて、試行錯誤の末、
ヒントを得るのが通例だ。