犬とり

月曜日の授業中、ひょんなことから「犬とり」の話になった。
私が子供の頃に、何か悪さをすると親から、
「そんなことしてたら、犬とりが来て、連れて行かれるよ。」
と脅されたものだった。
「犬とり」とは、野良犬をつかまえて、
保健所に連れて行くようなものだったようだが、
幸か不幸か、私がその「犬とり」なるものを目撃することは、
ついぞなかった。
で、結局、私の中では、
「犬とり」はほとんど架空の存在に近いものとなっていた。
ところが、月曜の生徒さんで、
なんと「犬とり」の現場を目撃した人がおられたのだ。
話によると、何でも先端が輪っかになっていて、
それが犬の首に掛かると、キュッと絞まる仕組みになっているという、
恐ろしい武器を駆使して、犬とりは行われるのだそうだ。
ただ、捕まえた後の処分は、
私が想像していた、ガス室に送られるようなむごいものではなく、
引き取り手を探してくれるような、温情ある措置だったようで、
その実在した「犬とり」に驚くとともに、
少しホッとしたのであった。