ゲームの感覚

子供が一時期熱中してやっていたゲームの一つに、
塊魂」というのがある。
宇宙人の王子が、地球で小さな玉を転がしていく。
その玉はいろいろな物を巻き込み、吸着させて、
どんどん大きくなってゆく。
最終的には、一つの星を作り上げるというものである。
私も、仕事を終えて帰宅して、
疲れているのに眠れないときなど、やってみると面白い。
家の中に転がるマッチ箱や皿など小さい物をどんどん巻き込む。
だんだん大きくなって、人や車や船などを吸着する。
さらには、巨大化してビルや島や雲などまで巻き込む。
かなり視界が広く大きくなると、
壮大な感じがしてストレス解消になる。
このゲームをやって、しばらく経ってから、
テレビで高いところから俯瞰するような風景を見たりすると、
一瞬、ゲームの感覚がよみがえり、
玉を転がして巻き込みたくなる気持ちがした。
そこで、「ああ、やっぱり。」と思った。
やたら戦ったり、人を殺したりするようなゲームばかりやると、
日常においてもそういう感覚がオーバーラップするというのは、
本当だったのだ。
相手が仮に人間ではないゾンビみたいなものだとしても、
次々殺していくようなゲームはよくない。
私は自分が、とりあえずは良識を備えた大人だと思っているが、
それでもゲームから錯覚するような感覚は生まれるのだ。
そんなゲームを、屈折して世を恨んでいるような若者が、
日々熱中してやっていたとしたらどうか。
昨今の事件から、仮に間接的であったとしても、
やはり原因があって結果があるのだと思える。